「行為計算否認」とは、同族会社間の取引などにおいて、節税以外の目的がなく、不合理極まりない

ものについて、税務署は否認することができるというものです。

しかし、具体的にどういったものが対象になるかは明らかにされておらず、悩ましいところですが、

6月27日の東京地裁の判決(判断)が参考になります。

 

まずは納税者有利。

「同族会社にあっては、自らが同族会社であることの特性を活かして経済活動を行うことは、ごく自然な

事柄であって、それ自体が不合理であるとはいえないから、同族会社が、自らが同族会社でなければなし

得ないような行為や計算を行ったとしても、そのことをもって直ちに、同族会社と非同族会社との間の税

負担の公平が害されることとはならない」

 

次に納税者不利。

「本件合併(合併とともに被合併法人の社員や資産を別会社へ移転)が形式的には適格合併の要件を満た

すものの、組織再編税制が通常想定している移転資産等に対する支配の継続、言い換えれば、事業の移転

及び継続という実質を備えているとはいえず、適格合併において通常想定されていない手順や方法に基づ

くもので、かつ、実体とは乖離した形式を作出するものであり、不自然なものというべき。」

 

・・・つまり「納税者(税理士)も税務署も常識的に考えろ」ということです。