保険会社各社が、過度な節税効果のある保険の販売を停止しているようです。
理由は国税庁が節税保険の課税見直しをおこなうということを保険会社が集まる「保険税務研究会」
で通達したことによります。
まがりなりにも金融庁のお墨付きをもらった商品を国税庁の通達で一斉に取りやめるという企業姿勢に
どこか違和感を感じるのですが。
それはさておき、節税保険と税理士業について以下のように思います。
<そもそも通達で運用していることがおかしい>
日本は法治国家であり、租税法律主義は国家の憲法原理として広く受け入れられています。
つまり法律の無いところに租税は賦課されることはないのです、絶対。
税務調査においても、調査官のおかしな指摘について我々税理士は法律に基づく課税要件の有無
による主張をします。
ですのでイマイチ納得できてないけど「お土産」。なんてもってのほか。
税務調査の上手い下手は調査官との交渉力ではなく、「正しい申告をする力」と「正しい税法の知識」だと思うのです。
話は逸れましたが、つまり法律で課税要件が規定されてるから納税義務が生じるわけで、
法律に規定されていないものは本来課税対象とはならないはずです。
にもかかわらず、保険税務については明確な法律がなく全て通達で運用されています。
本当にこのままで良いのか?
私はおかしいと思います。
通達の修正という怠慢な対応ではなく、明確な条文によって保険税務を規定することを望みます。
<税理士事務所の立ち位置>
多くの税理士事務所は保険会社と代理店契約を結び、顧問先へ保険を販売しています。
決算対策と称して保険を売れば毎年保険料の〇〇%が労せず懐に入るのですから、おいしいですね。
でも、私は一切していません。なんか気持ち悪いし後ろめたいんです。
また、数多の保険の中から「コレが最適です!」なんて胸を張っていえないですね。
我々税理士は税の専門家であって、保険の専門家ではありません。
世の中に出回る節税の本や提案資料を見れば、「何これ?リスクがまったく説明されていないなぁ。」と
我々税理士が思うのと一緒です。餅は餅屋。
税理士は、自分の利益を度外視で中立的な意見を言える唯一無二の存在。
この最高の立ち位置を踏み外してはいけないと思います。