「役員退職金はいくらまで大丈夫?」
そもそもこの問い自体がナンセンスですが、いまだに功績倍率法という算式を使うことが当然の
ように紹介する本や雑誌を見かけます。
(計算式は「最終月額報酬×役員勤務年数×類似法人の功績倍率の平均値(3倍など)」)
こんなの経営者の皆様にとっては違和感しかありません。
なんだこれ?って。
例えば、同じ業種、同じ役員勤務年数のAさんとBさんがいるとします。
いずれも会社の二代目です。
まずはAさん。
報酬は生活できるギリギリしかとっていませんでした。
先代が残した多額の借金を返済していたことも理由の一つです。
家族のため社員のために一生懸命に働き、やっと借金も無くなり会社も軌道に乗ってきました。
「やっと3代目にバトンタッチできる」
自身の年齢と3代目の自立のため、そろそろ身を引くことを考えています。
・・・一方Bさん。
会社は社員に任せてゴルフ三昧。にもかかわらず役員報酬は月1000万円。
今日も一日中ゴルフをした後、新地に飲みに行きます。
「退職金は税負担が少ないらしいし、それで海外に別荘でも建てるか・・・」
・・・AさんとBさんどちらが多くもらえますか?というか、どちらが多くもらうべきですか?
功績倍率法ならBさんのほうが多くもらえることになります。
功績倍率法は裁判になったときにどーしても使わざるを得ない折衷案的な方法であって、
こんな計算をしなければならないほど実態と金額に乖離がある、または何かその会社
に問題があったはずです。
功績倍率法を当たり前のように語るのはもうやめた方が良いんです。