皆様

いつも大変お世話になっております。

今回から連載で、民事信託における税務上の留意点を投稿していきます。

まずは、信託契約時の課税関係から。

<委託者=受益者の場合>

実務上はほとんどがこちらのケースで、自益信託といいます。

例えば、自宅を子に信託する場合は、親=委託者、子=受託者、親=受益者という関係になります。

所有権は受託者に移転しますが、税務上は受益者が信託財産を所有していると考えますので、課税関係は生じないことになります。

<委託者≠受益者の場合>

他益信託といいます。

上記の自益信託とは異なり、信託契約により委託者から受益者に経済的価値が移転するため、贈与税課税が生じます。

イメージは教育資金贈与信託です。

<受益者が存在しない信託の場合>

例えば「ペット信託」。受益者はペットで「人」ではありません。

この場合、税務上も受託者が信託財産を所有していると考えます。

よって、信託財産が委託者から受託者に移転するため、両者に課税関係が生じます。

委託者・・・信託財産を受託者へ時価で譲渡したものとみなして譲渡所得課税

受託者・・・信託財産の贈与を受けたものとみなして、受贈益に対して法人課税(受託者は”会社”とみなされます)

また、相続税負担を逃れようとすることを防止する意味で、受託者に対して贈与税課税(上記の法人税課税部分は控除)

 

いかがでしたでしょうか。ここまででも相当ややこしいことが分かります。

将来不安から信託を組成したものの、思わぬ課税関係が生じることは避けたいものです。

信託は、信託の専門家、弁護士や司法書士、税理士、金融機関が連携して組成することが大切です。

次回は、税務上の提出書類について記載いたします。