皆様 いつも大変お世話になっております。

今回は税務署へ提出する書類についてご説明いたします。

①信託に関する受益者別(委託者別)調書(合計表)

こちらの調書は、以下の事由が生じた日の属する月の翌月末日までに、受託者が提出します。

(1)信託の効力が発生したとき

(2)受益者等が変更されたとき

(3)信託が終了したとき

(4)信託の権利内容が変更されたとき

ただし、その信託財産の相続税評価額が50万円以下で、自益信託(つまり課税関係が生じないもの)である場合などに該当するときは、提出する必要がありません。

②信託の計算書

受託者の所轄税務署長に毎年1月31日までに提出します。

主な記載事項は以下のとおりです。

(1)委託者、受益者の氏名・住所など

(2)前年12月31日時点の、その信託にかかる資産や負債の内容

(3)前年中の信託の収支の内訳

(4)受託者が受け取った報酬の額

ただし、収益の額が3万円以下の場合には、原則としてこの計算書は提出する必要がありません。

③確定申告

税務上、信託財産に係る資産や負債、収益や費用は受益者に帰属するものとみなします。

よって、確定申告は受益者が行うことになります。他の不動産所得とは区別して、その信託に係る収入や必要経費等その他参考となるべき事項を記載した明細書を添付します。

なお、確定申告のとき最も注意しなければならないのは、「損益通算ができない」ということです。

信託財産から生じた赤字はなかったものとされ、他の所得との通算はできません。赤字を翌年以降に繰り越すことも不可です。

さらに信託同士の通算も不可です。

このような厳しい規制は、租税回避スキームへの対策として導入されています。

よって、既存の収益物件を信託する場合には、大規模修繕や建て替えを事前に行ったうえで、信託を組成することが税務上は有利となります。