皆様 いつも大変お世話になっております。
前回に引き続き、民法改正についてご説明いたします。
第2回目は「配偶者の長期居住権の保護」についてです。
次のいずれかに掲げるとき、配偶者は、住んでいる自宅について終身無償で使用する権利を取得します。
① 居住権を取得させる遺産分割協議が成立したとき
② 居住権を取得させる旨の遺言があったとき
③ 被相続人と配偶者で生前、死因贈与契約があるとき
例えば、相続人は「妻」と「婚外子」で、相続財産が自宅(評価3000万円)と現預金1000万円の場合。
(現行)
婚外子も1/2を相続する権利があるため、場合によっては自宅の共有や売却もしくは代償金の支払いとなり、配偶者の住居喪失や生活の困窮が危ぶまれます。
(改正案)
自宅を「居住権(債権)」と「所有権」に分けることができます。仮に居住権が1500万円とされた場合は、配偶者が自宅の居住権1500万円と現預金500万円、婚外子が自宅の所有権1500万円と現預金500万円を相続することが可能となります。配偶者は自宅に終身無償で住み続けることができ、生活資金の安定も得やすくなります。
・・・一見、良さそうですが、
① 第三者への対抗要件として登記をしなければならない
② 遺留分の計算において、評価額はどのように計算するのか不明
③ 相続税、特に小規模宅地の特例への影響が不明
なかなかハードルが多そうです。
いずれにせよ、民法はあくまで「もめたときのルール」です。
配偶者居住権など利用しないで済むのであれば、そのほうが良いはずです。
次回も民法の改正についてご説明します。どうぞご期待ください。