皆様 いつも大変お世話になっております。
多額の欠損金がある会社をうまく使う方法として、個人の収益物件を贈与することが考えられます。
例えば、収益物件の建物のみを贈与した場合の課税関係を考えてみます。
(会社側)
会社はタダで手に入れますので、建物と借地権の時価相当額の受贈益が生じますが、欠損金の枠内
であれば無税です。
なお、建物は個人の確定申告書に記載されている未償却残高、借地権は路線価基準÷0.8で、原則課税上
弊害はないものとして取り扱われます。
贈与後は、賃貸収入が会社側に帰属しますが、役員報酬等で所得を分散することが可能です。
(個人側)
①みなし譲渡
個人が法人に不動産を贈与した場合、時価に相当する金額により譲渡があったものとみなされます。
ただし、その建物が、「時価=未償却残高」いうことに課税上弊害が無いのであれば、譲渡益は
ゼロとなりますので、税金は発生しません。
②借地権設定による課税関係
この場合、一見借地権の贈与をしたように見えますが、建物の贈与によって贈与者が土地に対して
借地権の設定を行ったことに過ぎません。
よって借地権の設定は資産の譲渡にはなりませんので、税金も発生しません。
贈与後は、個人の不動産所得はゼロとなりますので、所得税の負担は減少。
また、土地も「貸地評価」となりますので、相続税の負担も減少します。
(株主側)
本スキームにより株価が上がる場合は注意が必要です。
株主と上記個人が同一であれば問題はありませんが、異なる場合には上がった株価相当額について
「贈与」があったものとみなされる可能性があります。