個人版事業承継税制について質問がありましたのでまとめます。
① 個人事業者の事業用資産について、贈与税・相続税がかからない
② 平成31年1月1日~10年間の贈与・相続が対象(令和6年3月31日までに承認計画を提出)
③ 対象となる資産は、
土地(400㎡まで)、建物(床面積800㎡まで)、その他減価償却資産(特許権など無形固定資産も含む)
よって、現金、売掛金、在庫は含まれない。
④ 計算にあたっては、③の対象資産から債務を除いて計算しなければならない。なお、この債務について
は、明らかに事業用でない債務(例えば住宅ローン)は除いてよい。
⑤ 先代も後継者も青色申告者
⑥ 小規模宅地の特例とは選択適用
⑦ 実行の際には、土地などの担保を税務署に提供する(自社株の納税猶予の「みなし規定」はない)
その他、手続き関係や細かい留意点はありますが、概ねこんなところでしょう。
・・・さて、この制度はどんな業種の人が使うのでしょうか。
まずは固定資産を多く有する業種でないとメリットがありませんから、医療、旅館、製造業でしょう。
また、通常先代は元気なうちに事業承継→隠居しますから、贈与が入口のケースが多いと思います。
後は、借入金があれば「負担付贈与」の論点と、銀行への事前手当は必要でしょう。
いずれにせよ新しい制度です。
すぐに飛びつかず、冷静なシミュレーションをすることが必要だと思います。