事業承継税制。
税理士のみならず他の士業の方も関心が高いですね。
とても懇意にさせて頂いている弁護士の先生からもご質問がありましたので、
事業承継税制の納税猶予額が「免除」になる場合を以下に列挙します。
① 贈与税の納税猶予額が免除となるケース
1)贈与者が死亡した場合
後継者は相続の際、贈与時の時価で相続したものとみなし、納税するか、もしくは
相続税の納税猶予に切替えることができます。(H31改正で手続き簡素化)
2)後継者が死亡した場合
後継者の子供(孫)は、後継者が保有していた株式を本来の相続財産として相続します。
なお、孫においても要件を満たせば相続税の納税猶予の適用が可能です。
3)贈与者の死亡以前に、後継者の子(孫)に贈与した場合
特例承継期間(5年)経過後に、後継者がその子(孫)に贈与した場合も免除されます。
ただし、孫が事業承継税制を適用する場合に限ります。
なお、当初の贈与者が死亡した場合は、孫が「みなし相続」として、相続税課税(2割加算)
されますが、相続税の納税猶予に切り替えることができます。
② 相続税の納税猶予額が免除となるケース
1)後継者が死亡した場合
後継者の子(孫)が要件を満たせば、孫も納税猶予の適用が可能です。
2)後継者が孫に一括贈与した場合
特例承継期間(5年)経過後に、後継者がその子(孫)に贈与した場合も免除されます。
ただし、孫が事業承継税制を適用する場合に限ります。
なお、後継者が死亡した場合には、孫が「みなし相続」として、相続税課税されますが、
相続税の納税猶予に切り替えることができます。
③ その他の免除となるケース
1)やむを得ない事情が生じた場合
特例承継期間内に、やむを得ない事情により後継者が代表権を有しなくなり、
後継者の子(孫)に贈与した場合は免除されます。
ただし、その贈与において事業承継税制を適用する場合に限ります。
2)事業継続困難、M&A等
特例承継期間経過後、事業の継続が困難、M&A等をした場合、納税猶予額を再計算して
当初の納税猶予税額との差額が免除されます。
以上となります。
こう見ますと・・・
特例承継期間中は動かせない。
出口は「贈与」ではなく、あくまで「相続」のとき、ということになります。