皆様 いつも大変お世話になっております。
今回は、平成30年度税制改正大綱で見送りになったものをご紹介します。
見送りになったとはいえ、今後の改正において検討される事項となりますのでご参考ください。
〇「貸付事業用宅地等の特例」のさらなる要件強化
「貸付事業宅地等の特例」とは、賃貸物件を相続した場合に敷地の200㎡まで50%評価を減額できるものです。
例えば、敷地売買価格1,000万円 相続税評価額600万円の場合は、1,000万円から300万円(600万円×50%)に評価を落とすことが可能となります。
今までの改正の流れは次の通りです。
①「平成30年度税制改正大綱」前の要件(平成30年3月31日以前の相続等)
相続税の申告期限までに貸付事業を継続・所有すること。
②「平成30年度税制改正大綱」の追加要件(平成30年4月1日以後の相続等)
相続開始前3年以内に貸付事業を開始した場合は適用できない。
ただし、相続開始前3年を超えて事業的規模(5棟・10室以上)で貸付事業を行っている場合は除く。
・・・つまり、相続税対策として亡くなる直前に賃貸物件を買ってもダメ、ということです。
駆け込みでワンルームマンション投資を行った方は要注意です。
なお、過去から物件を多数所有する資産家の方には影響はありません。
③会計検査院の報告書(平成29年11月発表)
さらに、会計検査院は「申告期限終、賃貸物件をすぐに売却するケースが見受けられる。これらは貸付事業を継続して行うという意思はなく、相続税対策として購入しただけであり、「事業者の保護」という政策目的に沿っていない。」と指摘しています。
今回の改正で申告期限以前3年をしばり、次の改正で申告期限以後3年のしばり・・・となるかもしれません。
不動産投資については将来の収益・売却価額の検証はもちろん、慎重にご検討されることをお勧めいたします。