皆様
いつも大変お世話になっております。
今回は、委託者と受益者が違う「他益信託」について考えます。
例えば、収益物件を「委託者=親」「受益者=子」とする信託を組成した場合。
以前にも述べた通り、税務上は親から子への贈与とみなされ、子に贈与税が課税されます。
ココからが注意です。
通常、収益物件の場合、借主から敷金を預かっています。
この場合、敷金(負担)付きの贈与として、収益物件の評価額は、相続税評価(低い金額)ではなく売買
価額(高い金額)として贈与税の計算をすることになります。
(例)売買価額100 相続税評価額50 敷金▲10の収益物件を贈与した場合
相続税評価額50-敷金10=40に贈与税・・・とはならず、
売買価額100-敷金10=90に贈与税が課税されます。
売買価額と相続税評価額の乖離を狙った節税スキームを防止するため、土地建物や構築物の
負担付き贈与は、時価課税となったのです。
ただし、敷金に見合う現金を同時に贈与すれば時価課税を防ぐことが出来ます。
(「親は敷金を子に引き継がせる意思は無く、子に実質的な負担は無い」という考え方です)
そうすれば、相続税評価額50+現金10―敷金10=50に贈与税・・・ということになります。
信託に限らず、収益物件を子に贈与し、所得の分散を図ることはよくある話しですが、
この「負担付き贈与」は必ず押さえておきたい税務上の取り扱いです。
(追記)
負担付き贈与の課税関係については、2018年8月11日「負担付贈与は全て時価評価ではない」も
合わせてご覧ください。