皆様 いつも大変お世話になっております。
「有効な相続税対策とは?」と聞かれた場合、私はいつもこう答えています。
- 相続人の数を増やす
- 財産評価額を下げる
対策はたったこの二つです。
今回は、このうち「相続人の数を増やす」の代表「養子縁組」について投稿させていただきます。
相続税法63条で「税務署は、相続税の負担を不当に減少させる結果となる場合には、養子の人数を法定相続人の数に含めず相続税の計算ができる」旨を定めています。
もし、養子縁組を否認された場合は、基礎控除額、保険の非課税限度額、退職手当金等の非課税限度額、相続税の総額計算において不利となり、人によっては数百万円~数千万円の税差になります。
一方、平成29年1月31日の最高裁判決で「相続税の節税の動機と縁組をする意思とは、併存し得るものである。したがって、専ら相続税の節税のために養子縁組をする場合であっても、直ちに民法802条1号にいう「縁組意思がない」とすることができない。」と判断しました。
(※民法802条1号で、当事者間に縁組をする意思がないときは、養子縁組は無効とされます。)
ここで判決がいわんとすることは「養子縁組する意思が無いことを証明しない限りは、無効とはならない」ということです。
この裁判は親族間での争いですが、税務署への対応としても大変参考になります。
つまり、税務署から養子縁組を否認されないためには、節税目的とは別の意思を担保することが重要です。
「孫の福祉ため」
「実子と配偶者の連れ子を平等に扱いたい」
「精神的な繋がりをもちたい」
「老後の扶養のため」
「事業承継、後継ぎのため」が代表的なものでしょう。
逆に、
「認知症など意思能力が無い状態での縁組」
「相続が発生後すぐに離縁」
「養子が一つの財産も相続しない」場合は、注意が必要と考えます。
なお、養子縁組は他の相続人の相続分(遺留分)に影響するため、よく話し合いの上で実行されることをお勧めいたします。
弊所はじっくり時間をかけ、お客様と一緒に悩み考えます。
養子縁組をお考えの方はいつでもご相談ください。